工場や製造現場を動画にする方法|ラインを止めずに撮る段取りと、図解に回すものの線引き

写真: Freek Wolsink / Pexels

工場の動画は、「撮れないもの」を先に決めると進む

結論から書きます。工場や製造現場の動画は、見せたいものを並べる前に、撮れないものを決めてください。これが最初の作業です。

撮れないものは3種類あります。機密で社外に出せないもの、設備の内側にあって肉眼では見えないもの、ラインを止めないと撮れないもの。先にこの3つを抜くと、残ったカットだけで構成が組めます。

逆の順番で進めると、撮影の数日前に止まります。構成案に入れた加工のアップについて、品質保証の担当者から「この治具は外に出せない」と言われる。差し替えを考える時間は、もう残っていません。

私たちは広島で動画制作会社をやっています。2022年の設立以来、累計300本以上を制作してきました。お取引先の業種には製造業が入っていて、工程や技術の見せ方についての相談は多いほうです。

この記事では、撮影前に通す社内の4か所、実写と図解の線引き、稼働を止めない段取り、1回の撮影から出す本数、公開前の確認を書きます。

撮影より先に、社内の4か所へ話を通す

工場の動画で日程が動く原因は、制作側の都合ではありません。社内の確認です。声をかける先は4つあります。

  • 製造の責任者。撮影を入れられる日と時間帯、立ち入れる範囲
  • 安全衛生の担当者。保護具、立入りの制限、撮影スタッフへの事前説明の要否
  • 品質保証や技術の担当者。映してよい設備と、映してはいけない治具・図面・表示
  • 取引先。他社から預かった部品や金型が画面に入る場合の許可

4番目が抜けやすいです。自社の工場でも、並んでいる部品が他社の製品ということがあります。型番が読める状態で公開すると、後から取り下げになります。

この4か所に聞く質問は、1つにまとめられます。「この範囲を、この日のこの時間に撮って、Webで公開する。問題のある箇所はどこか」。範囲と公開先を同時に出すのがコツです。公開先を伝えないと、社内用の資料だと思われたまま話が通ります。

実写で撮るか、図解に回すかは3つの質問で決まる

工程を見せる方法は、実写・図解アニメーション・3DCGの3つです。好みで選ぶのではなく、下の3つの質問で振り分けます。

質問はいいいえ
肉眼で見えるか(炉の中、配管の内側、ミクロンの精度は見えない)実写図解アニメか3DCG
稼働を止めずに撮れるか実写図解アニメか3DCG
その映像を社外に出せるか実写図解アニメ

3つすべてが「はい」なら実写で撮ります。1つでも「いいえ」があれば、その工程だけ図解に回します。1本の中で混ぜて構いません。

図解にすると、見せる度合いを調整できます。実際の設備の形を外し、原理だけを描けば、機密の線を越えません。株式会社シンコー様の企業紹介動画では、船舶用ポンプ・タービンの技術をアイソメトリックの図解アニメーションで解説しました。構成・絵コンテ・イラスト・アニメーション・編集を一括で担当し、4分58秒の1本にしています。

工程そのものを解説する形もあります。株式会社アルコム様では、ガスパージ工程を解説するアニメーションをシリーズで制作し、イラストとモーションを担当しました。製品の外側の動きや使用環境を見せるなら3DCGです。しろくま電力様のカーポートでは、雨や雪などの環境表現を含めた1分38秒の製品PVを3DCGで作っています。

費用の見え方も変わります。実写のスタータープランは50,000円(税別)で、一人体制の撮影と編集、修正2回が入ります。アニメーションは、絵コンテの提案から入るスタンダードプランが150,000円です。図解は描く枚数で金額が動きます。全工程をアニメにするのではなく、見えない1工程だけを回すほうが予算に収まります。

稼働を止めない段取り

「撮影のためにラインを止める」は、ほぼ通りません。止めれば生産計画に穴が開きます。止めずに撮るなら、段取りを撮影側に寄せます。

やることは4つです。

  1. 稼働表をもらい、同じ作業が繰り返される時間帯に撮影を入れる。同じ動きが何回も来るので、1回失敗しても次が撮れます
  2. 寄りのカットは、休憩や段取り替えの数分に集める。機械が静止していても、寄りの絵は成立します
  3. 三脚を置く位置を下見で決める。通路幅と動線を確認し、作業者が機材を避けて歩く状態を作らない
  4. 音を先に取りに行く。現場の音は、後から作れません

4番は、映像より効くことがあります。紙布プロジェクト様のインタビュー動画では、織物機の音を冒頭に取り入れ、手元や目線に寄った実写映像で構成しました。現場の音は、それだけで現場の空気を伝えます。

下見が必要なら、ロケハンが入るプランを選んでください。実写のプレミアムプラン250,000円には、ロケハンと2名体制の撮影が含まれます。稼働中の現場で2か所を同時に押さえるなら、この体制のほうが安全です。

1回の撮影から、何本出すか

工場に入れる日は、そう多くありません。1回の撮影で複数本の素材を撮ってしまうのが現実的です。

分け方の例を挙げます。

  • 技術紹介(3〜5分)。商談と展示会で流す
  • 採用向け(1〜2分)。働いている様子と、現場の社員の声
  • 縦型(15〜30秒)。SNSと求人媒体
  • 工程の解説(図解アニメ)。撮影素材は使わず、別で作る

大事なのは、撮影前に本数と用途を決めておくことです。本数が決まると、インタビューの質問も、撮る時間帯も変わります。社員インタビューを入れるなら、実写のスタンダードプラン100,000円にインタビューが含まれます。日本ガイシ様の社員インタビュー動画では、7分53秒の編集・テロップを担当しました。

納期は、最短2週間、撮影を伴う実写動画は3〜4週間が目安です。社内の承認に2週間かかるなら、その日数は手前に積んでおいてください。

公開前に見る、機密と権利の5項目

編集が終わったあと、公開の前にもう一度見ます。見るのは5つです。

  1. 図面・仕様書・作業指示書の文字が読めないか
  2. 治具・金型・ラインのレイアウトで、外に出さない取り決めのものが映っていないか
  3. 他社の製品やロゴ、型番が判別できないか
  4. 作業者の顔。本人の了解を取っているか
  5. 出願前の技術が映っていないか

5番は製造業の動画に特有です。特許庁の「発明の新規性喪失の例外規定」の案内では、自ら公開した発明でも、公開した日から1年以内の出願であることなどの要件を満たせば、例外の適用を受ける道が示されています。手続きは、出願と同時に適用を受ける旨の書面を出し、出願から30日以内に証明する書面を提出する形です(出典: 特許庁)。

ただ、救済の手続きを前提に動くのは順番が逆です。出願の予定がある技術なら、公開のタイミングを知財の担当者と先に合わせてください。動画は、納品してから公開日をずらせます。

1から4は、撮る前に片づけるほうが早いです。書類は裏返す、モニターは切る、他社の部品にはカバーをかける。あとから映像で消すと、1カットずつの作業になります。修正は2回までが料金に含まれ、3回目以降は別途ご相談となります。この2回は、構成や見せ方の調整に使ってください。

相談する

工場の動画は、何を撮るかが決まっていない段階でもご相談いただけます。伺うのは3つです。動画を誰に見せるか、工場の中にカメラを入れられるか、見せられない工程があるか。

この3つが分かれば、実写で撮る構成と、図解アニメーションに回す構成の両方で見積もりを出せます。カメラを入れられない場合も、図面や写真からアニメーションで作る形があります。

打ち合わせはオンラインで行います。広島市内なら訪問も承ります。全国対応していますので、県外の工場での撮影もご相談ください。ご相談は無料です。

よくある質問

工場の中にカメラを入れられません。それでも動画は作れますか?

作れます。図面や既存の写真、パンフレットのデザインデータを使い、図解アニメーションで工程を見せる形です。アニメーションのスタータープランは50,000円(税別)からで、撮影の日程調整も立入りの許可も必要ありません。

県外の工場でも撮影を頼めますか?

承ります。全国対応していますので、県外の拠点での撮影も可能です。交通費は別途いただきます。遠方の工場は、1回の出張で複数本の素材をまとめて撮る段取りをおすすめしています。

数年後に設備が変わったら、撮り直しになりますか?

実写で撮った設備のカットは、変わった部分だけ差し替える形になります。図解アニメーションは、絵を描き替えれば対応できるので、差し替えが効きやすいです。修正は2回までが料金に含まれ、3回目以降は別途ご相談となります。

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