空撮を入れるかは、見せたいものが「広さ」か「高さ」かで決まる
結論から書きます。ドローン空撮を入れるかどうかは、かっこよさで決めるものではありません。見せたいものが敷地や施設の「広さ」か、立地を見下ろす「高さ」か。このどちらかに当てはまるときだけ、空撮は仕事をします。
判断の基準は1つです。地上から撮った絵を何カット並べても伝わらないものがあるか。工場の建屋が3棟に分かれている。本社が山の斜面に建っている。こういう形は、地上からだと全体像になりません。ここは空から撮る価値があります。
逆に、社員が働く表情、製品の質感、接客の空気。これらは空から撮っても何も増えません。遠くなるだけです。
私たちは広島で動画制作会社をやっています。2022年の設立以来、累計300本以上を制作してきました。会社紹介動画の打ち合わせでは「空撮も入れたいんですが」という相談をよく受けます。そのときに聞き返すのは、何を見せたいかです。
この記事では、空撮が効くカットの見分け方、許可を取るのは誰か、発注側が当日までに取っておく承諾、申請にかかる日数、予算の中での置き方を書きます。
空撮が効くカットと、地上のカメラで足りるカット
線引きの表です。迷ったら、この表の左側に当てはまるかを見てください。
| 見せたいもの | 空撮が効くか | 理由 |
|---|---|---|
| 敷地・施設の全景 | 効く | 地上では一度に入らない |
| 立地・周辺環境(駅から、海から) | 効く | 位置関係は上からが早い |
| 建設中の進捗、造成地の形 | 効く | 高所に人を上げずに撮れる |
| イベント会場の規模感、人の流れ | 効く | 来場者の数が1カットで伝わる |
| 屋外の作業、大型の機械 | 条件つき | 動きの全体像なら効く。手元は地上 |
| 社員インタビュー | 効かない | 表情と声が主役 |
| 製品の質感・細部 | 効かない | 寄りのカットが要る |
| 店内の接客、売り場 | 効かない | 屋内では飛ばせない前提で考える |
実務でよくあるのは、空撮カットが1本の動画に2〜3カットしか残らないことです。それでも冒頭の数秒に入ると、会社の規模が先に伝わります。5分前後の企業紹介動画なら、全景のカットを置く場所があります。
15秒の縦型動画に空撮を入れる相談も受けます。ここは慎重に考えてください。縦型は画面が縦に長く、横に広い全景とは相性が悪いです。
許可を取るのは飛ばす側、承諾を取るのは発注側
「許可は業者がやってくれる」で止まると、当日に飛ばせません。許可と承諾は、取る人が違います。
航空法の許可・承認は、飛ばす側が申請する
国土交通省は、無人航空機の飛行について、許可が必要な空域と承認が必要な飛行方法を定めています。許可が必要な空域は、空港等の周辺の空域、地表または水面から150m以上の高さの空域、人または家屋の密集している地域の上空です。加えて、緊急用務空域が指定されると、他の許可があっても飛行は禁止されます。
承認が必要な飛行方法には、夜間飛行、補助者を配置しない目視外飛行、人または物件から30mの距離を取らない飛行、催し場所上空の飛行、危険物輸送および物件投下があります(出典: 国土交通省)。
広島市の市街地は、人または家屋の密集している地域に入る場所が多くあります。佐伯区の住宅地で「社屋を上から撮りたい」という話になれば、まずここの確認から入ります。
空域の許可と飛行方法の承認は、必要なものをそれぞれ申請します。1つ取れば全部に通る、という形ではありません。
発注側が当日までに取っておくもの
航空法の手続きとは別に、発注側にしか取れない承諾があります。制作会社が代わりに取ることはできません。
- 撮影場所の所有者・管理者の承諾。借りている敷地なら貸主、工業団地なら管理組合
- 隣接する敷地の承諾。離陸地点や飛行経路が隣の土地の上を通る場合
- 近隣・入居者への事前の周知。音が出るため、事前に伝えておくほうが早い
- 映り込む範囲の確認。隣の工場の屋根、他社の看板、駐車場の車のナンバー
- 立入管理の人員。撮影中に人を近づけない役。社内から1〜2名出していただくことが多い
- 予備日。1日しか押さえられない撮影に空撮を入れるのは危険です
4番は後から効いてきます。空から撮ると、敷地の外まで広く写ります。隣の会社の資材置き場が丸ごと入っていて、公開前に差し替えになった現場がありました。飛ばす前にフレームを確認してください。
申請に10開庁日。発注は撮影日の1か月前に動かす
空撮を入れると決めたら、日程の組み方が変わります。国土交通省は、許可・承認の申請について「飛行開始予定日の少なくとも10開庁日以上前(土日・祝日を除く)には申請書類を提出してください」としています。あわせて、飛行予定日から3〜4週間程度の余裕をもった申請を推奨しています(出典: 国土交通省)。
10開庁日は、土日祝を除いた日数です。カレンダーでは2週間を超えます。ここに社内の承認期間が重なります。
逆算すると、こうなります。
| 時点 | やること |
|---|---|
| 撮影日の6週間前 | 構成を決め、空撮を入れるか確定する |
| 撮影日の5週間前 | 場所の所有者・管理者の承諾を取る |
| 撮影日の4週間前 | 飛行の申請に入る |
| 撮影日の1週間前 | 近隣への周知、立入管理の人員を決める |
| 撮影日 | 予備日を確保したうえで実施 |
私たちの納期は、最短2週間、撮影を伴う実写動画は3〜4週間が目安です。空撮が入る場合は、この手前に申請の期間を積んでください。「来月の展示会に間に合わせたい」という相談で、空撮を外して地上撮影に切り替える判断をしたことが何度もあります。
予算の中で、空撮の位置を決める
空撮の費用を単体で調べると、数万円から数十万円まで幅のある数字が出てきます。ただ、発注側が決めるのは空撮の単価ではありません。動画1本の予算の中で、空撮に何割を使うかです。
私たちの実写動画の料金は、スタータープラン50,000円(税別)、スタンダードプラン100,000円、プレミアムプラン250,000円です。スタータープランは簡易打ち合わせと一人体制の撮影、編集、修正2回が含まれます。この構成に空撮を足すと、機材とオペレーターの手配が増えます。
考え方は2つです。空撮を優先するなら、尺を短くしてインタビューを外す。インタビューと現場のカットを優先するなら、空撮は今回やらない。1本の動画で全部を満たす形は、予算の上限がある限り作れません。
ロケハンが入るのはプレミアムプラン250,000円です。飛行経路と離着陸の場所を事前に見ておく必要があるなら、この体制のほうが確実です。
修正は2回までが料金に含まれ、3回目以降は別途ご相談となります。空撮のカットを撮り直すとなると、申請からやり直しになることがあります。この2回は、構成や見せ方の調整に使ってください。
飛ばせなかった日のために、地上の構成を先に作る
空撮は天候で飛ばせません。風速、雨、場所によっては近隣の行事。当日の朝に中止を決めた現場もあります。
だから私たちは、空撮なしでも成立する構成を先に作ります。空撮カットは、そこに足す形で設計します。順番を逆にすると、飛ばせなかった日に動画が成り立ちません。
当日の進め方を、発注前に決めておいてください。
- 中止を判断するのは誰か。現場の判断者を1人決める
- 何時までに判断するか。社員の出演予定があるなら、朝のうちに決める
- 中止になった場合、地上の撮影だけ進めるか
- 予備日はいつか。その日に出演者が揃うか
空撮が入らなかったときの代わりも用意できます。敷地の全景は、図面をもとにした図解アニメーションで見せる形があります。
相談する
ドローン空撮を入れるかどうかは、決まっていない段階でご相談いただけます。伺うのは3つです。動画を誰に見せるか、見せたいものが広さや高さに関わるか、撮影できる日が何日あるか。
この3つが分かれば、空撮を入れた構成と、地上撮影だけの構成の両方で見積もりを出せます。日程が足りないときは、図解アニメーションで全体像を見せる案もお出しします。
打ち合わせはオンラインで行います。広島市内なら訪問も承ります。全国対応していますので、県外での撮影もご相談ください(交通費は別途)。ご相談は無料です。
