サムネイルは「どこで見つけられるか」で決める
結論から書きます。サムネイルとタイトルで最初に決めるのは、デザインではありません。その動画がどこで見つけられるかです。検索から来る人と、おすすめ欄で偶然見る人では、必要な1枚が違います。
打ち合わせで「サムネイルは目立つ感じで」と言われる場面があります。この指示だけでは作れません。目立つの基準が、置く場所によって逆になるからです。
私たちは広島で動画制作会社をやっています。2022年の設立以来、累計300本以上を制作してきました。公開したのに伸びないと相談されたとき、中身より先に見るのがサムネイルとタイトルです。
この記事では、企業のアカウントで使える決め方を書きます。個人のチャンネル向けに書かれた手法は、そのままでは使えません。理由は後で書きます。
規格は、検索上位の記事に載っている数字と違う
先に仕様を押さえます。ここを間違えると作り直しになります。
多くの解説記事は、サムネイルの推奨を1280×720ピクセル、ファイルは2MBまでと書いています。現在のYouTubeヘルプの値は違います。動画のサムネイルを追加する - YouTube ヘルプには、16:9の動画で推奨解像度3,840×2,160ピクセル、最小幅640ピクセルと書かれています。ファイルサイズの上限はアップロードする端末で変わります。パソコンからなら50MB、モバイルからなら2MBです。
2MBという数字だけが広まっています。パソコンで作って入れる限り、容量で困る場面はほとんどありません。
ショート動画は別枠です。同じヘルプに、9:16で2,160×3,840ピクセルが推奨と書かれています。横型用に作った1枚を流用すると、上下が切れます。
A/Bテストで分かること、分からないこと
YouTube Studioには、タイトルとサムネイルを比べる機能があります。タイトルとサムネイルの A/B テスト - YouTube ヘルプによると、比べられるのは最大3案です。タイトルだけ、サムネイルだけ、両方の組み合わせから選びます。テストは2週間以内に完了します。
注意したいのは判定の指標です。ヘルプには、総再生時間が最も長かったものがすべての視聴者に表示されると書かれています。クリック率だけで勝ち負けが決まるわけではありません。クリックされても早く離脱する案は、この仕組みでは勝ちません。
使える条件も決まっています。パソコンのYouTube Studioのみで、上級者向け機能を有効にする必要があります。ショート動画、スケジュール設定されたライブ配信、プレミア公開動画は対象外です。縦型を中心に運用している会社では、この機能は使えないものとして計画してください。
置く場所で、サムネイルとタイトルの役割が変わる
ここが本題です。同じ動画でも、どこに並ぶかで作るものが変わります。
| 見つけられる場所 | サムネイルの役割 | タイトルの役割 |
|---|---|---|
| YouTubeの検索結果 | 検索語と内容が合っていると示す | 検索される言葉を先頭に置く |
| 関連動画・おすすめ欄 | 小さくても何の話か分かる | 短く、続きが気になる形にする |
| 自社サイトへの埋め込み | ページの雰囲気を壊さない | ページの見出しと重複させない |
| 商談でその場で再生 | ほぼ関係ない | 社内で探せる名前にする |
| 縦型ショート | 1秒目の映像がほぼ全部 | 本文の最初の一行が効く |
下の2行で、よく手が止まります。商談で直接見せる動画に、凝ったサムネイルは要りません。かわりに必要なのは、社内の誰が探しても出てくるファイル名です。「新商品_説明_最終版2」では、半年後に見つかりません。
株式会社カーネット様のサービス説明動画は、営業ツールとして活用いただき、年間100契約の獲得を後押ししました。この種の動画で効くのは、サムネイルの派手さではありません。商談の場ですぐ出せる整理の仕方です。
縦型ショートも別物です。一覧には小さく並びますが、実際の判断は流れてきた1秒目で決まります。サムネイルを作り込むより、最初のカットを選び直すほうが早く効きます。
企業のアカウントは、煽りが使えない
個人のチャンネル向けの解説は、驚いた顔、大きな矢印、赤い囲み文字を勧めます。企業のアカウントで同じことをやると、別の問題が起きます。
実際にあった相談を書きます。ある会社で、担当者が人気チャンネルを参考にサムネイルを作り直しました。クリック率は上がりました。ところが営業部から待ったがかかりました。既存のお客様が見る場所に、この見た目の動画は出せない、という話です。
企業のアカウントは、取引先・求職者・既存客が同じ画面で見ます。煽って集めた数字は、別の場所で損をします。
煽りの代わりに効くものが3つあります。
- 固有名詞を入れる。「業務効率化の事例」より「組立工程を3人から1人に」のほうが、届く相手がはっきりする
- 数字を1つだけ置く。文字を減らしても意味が残る
- シリーズで形をそろえる。色・文字の位置・ロゴの場所を固定すると、2本目以降の見え方が安定する
3つ目を軽く見ないでください。1本ごとに最適な1枚を作ると、チャンネル全体では散らかります。シェアサロンCOCO様のSNS広告・SNS運用では、施設の登録者数が400%増加しました。続けて出す前提の運用では、投稿が並んだときの見え方まで含めて設計しています。
文字は何文字まで入れるか
迷ったら、スマートフォンの関連動画欄で確認してください。あの大きさで読めない文字は、入っていないのと同じです。私たちは、大きく見せる言葉を1つに絞り、補足を1つだけ添える形を基本にしています。
タイトルとサムネイルに同じ言葉を2回出すのも避けます。2つは並んで表示されるので、繰り返すと情報が増えません。サムネイルで「工場の自動化」と見せたなら、タイトルは別の角度から書きます。
外注するときに決める3つ
動画制作を外注した場合、サムネイルが納品物に入るかどうかは会社によって違います。見積もりの段階で確認してください。後から頼むと別作業になります。
決めておくのは次の3つです。
- 枚数。1本につき1枚か、比較用に2〜3枚か
- 元データを受け取れるか。編集データがあれば、文字だけ自社で差し替えられる
- 写っている人の掲載範囲。社員が写る場合、退職後も使い続けてよいかを先に決める
3番目が後で効きます。サムネイルに顔が出ている動画は、その人が辞めると差し替えの判断が要ります。撮影の時点で範囲と期間を書面にしておけば、そこで迷いません。
費用の考え方も書いておきます。私たちの実写動画はスタータープラン50,000円(税別)から、アニメーション動画も50,000円(税別)からです。修正は2回まで料金に含まれます。3回目以降は別途ご相談という形です。サムネイルの案を複数出す前提なら、その回数も見積もりの時点でお伝えください。
公開前に見る10項目
初稿が上がったら、私たちはこの順で見ています。
- スマートフォンの画面で、文字が読めるか
- 右下の時間表示と文字が重なっていないか
- 社名・商品名の表記が正式なものか
- タイトルとサムネイルで同じ言葉を繰り返していないか
- タイトルの先頭に、検索される言葉が入っているか
- 動画の中身と食い違っていないか
- 写っている人の掲載許諾が取れているか
- 背景に関係ない社名や資料が写り込んでいないか
- 過去の動画と、色・文字の位置がそろっているか
- 社内で誰が最終確認をするか決まっているか
10番目を最後に置いたのには理由があります。サムネイルは好みが出やすく、意見が割れます。公開の直前に役員から別案が出て止まる場面を、何度も見てきました。見る人を先に決めて、初稿の段階で一度通してください。
相談する
サムネイルとタイトルを決める前に、その動画がどこで見つけられるかを一緒に整理させてください。
初回のご相談では、動画を置く場所と、見てほしい相手を伺います。この2つで、サムネイルに何を載せるかはおおよそ決まります。すでに公開している動画があれば、差し替えたほうがよいものから順にお伝えします。企画の段階からのご相談も承ります。
納期は最短2週間です。撮影を伴う実写動画は3〜4週間が目安になります。打ち合わせはオンラインで行います。広島市内なら訪問も承ります。全国対応していますので、県外からでもご相談ください。ご相談は無料です。