補助金が使えるかは、動画が「何を宣伝するか」で分かれる
動画制作に補助金を使いたい、というご相談は年間を通して届きます。お伝えしているのは、制度を探すより先に確かめることが1つある、という話です。作ろうとしている動画が、補助対象の経費に入るかどうかです。
小規模事業者持続化補助金〈一般型 通常枠〉第20回公募の公募要領には、対象になる経費の例とならない経費の例が並んでいます。「商品・サービスの宣伝のための画像や動画作成」は対象例です。一方、「商品・サービスの宣伝広告を目的としない広告・看板・会社案内パンフレット作成・求人広告」は対象とならない例として載っています。単なる会社の営業活動に活用されるもの、という理由が添えられています。
商品やサービスを宣伝する動画は土俵に乗ります。会社案内や求人の動画は乗りません。取り違えたまま撮影の相談が進むと、あとで組み直しになります。
以下の数字と条文は、公募要領(第8版・2026年7月21日)からの引用です。出典は商工会議所地区の公式サイト、商工会地区の方はこちらです。制度は公募回ごとに変わるため、申請前に最新版をご自身で確認してください。
動画に効く上限は、補助上限の50万円ではない
制度の全体像はこうです。補助率は2/3、補助上限は50万円。インボイス特例の対象事業者は50万円、賃金引上げ特例の対象事業者は150万円、両方に当たる事業者は200万円が上乗せされます。ここだけ読むと動画に250万円使えるように見えますが、実際は違います。
補助対象経費は8つの区分に分かれています。①機械装置等費、②広報費、③ウェブサイト関連費、④展示会等出展費、⑤旅費、⑥新商品開発費、⑦借料、⑧委託・外注費です。動画が入るのは②か③です。
そして②広報費と③ウェブサイト関連費には、それぞれ次の2つの制約がかかります。
- 補助金交付申請額の上限は30万円(税込)
- その区分だけでの申請はできない。必ず他の経費と一緒に申請する
補助率2/3で30万円を受け取るには、45万円の経費が必要です。動画で受け取れる補助金は、ここが天井になります。「250万円まで出るんですよね」と言われることがありますが、動画だけで満額に届く設計にはなっていません。
振り分けにも決まりがあります。自社ホームページやECサイトで使用する動画や写真の制作費用は、③ウェブサイト関連費で計上するように書かれています。同じ1本でも、置く場所で区分が変わります。私たちは使う場所をうかがってから、見積の内訳を分けています。
対象に入る動画と、外れる動画
公募要領の記載を動画の用途に置き換えると、次のようになります。最終的な判定は補助金事務局が行うため、読み替えの目安です。
| 作ろうとしている動画 | 公募要領の記載との対応 | 計上する区分 |
|---|---|---|
| 商品・サービスを宣伝する動画 | 「商品・サービスの宣伝のための画像や動画作成」が対象例 | ②広報費 |
| 自社サイト・ECサイトに載せる動画 | 自社HP・ECサイトで使う動画は③で計上と明記 | ③ウェブサイト関連費 |
| デジタルサイネージで流す動画 | 「街頭ビジョンやデジタルサイネージ広告への掲載」が対象例 | ②広報費 |
| SNS広告のクリエイティブ・運用代行 | 「SNS広告、運用代行費」が対象例 | ②広報費 |
| 会社案内・企業紹介の動画 | 会社案内パンフレット作成が対象外の例 | 対象外の可能性が高い |
| 求人・採用向けの動画 | 求人広告が対象外の例 | 対象外の可能性が高い |
採用動画のご相談でこの表を見せると、打ち合わせの空気が変わります。求人広告が対象外と書かれているからです。ただ、補助金を前提にせず予算を組み直す判断もあります。
会社案内の動画も同じです。公募要領には、商品・サービスの名称や宣伝文句および事業者名等が付記されていないものは対象外との記載があります。企業のイメージだけを伝える1本は、この線引きに引っかかります。売りたい商品が決まっているなら、その商品の紹介動画として組み立て直すほうが通しやすくなります。
発注の順番を間違えると、補助金は出ない
制度の中身より、こちらのほうが事故が起きます。
公募要領には補助対象経費の条件が3つ挙げられています。使用目的が特定できること。交付決定日以降に発生し、補助事業期間中に支払が完了していること。証憑資料等で支払金額が確認できること。
2つめが要点です。「補助金交付決定通知書」の受領前は補助対象となる経費支出等はできない、とも明記されています。交付決定より前に発注して支払った制作費は、採択されても対象外です。
私たちが実際に受けるのは、「補助金を申請するので、先に撮影だけ進めておいてほしい」という依頼です。気持ちは分かります。ただ、この順番だと補助金が消えます。撮影日を仮で押さえる分は構いませんが、契約と支払は交付決定の後に回してください。
見積の出し方にも段取りがあります。採択発表から交付決定までに、価格の妥当性を証明できる見積書等(相見積を含む)の提出が必要です。発注総額が1件あたり50万円超(税込)になる場合は2者以上からの見積が必要で、支出内容が不明確なものは認められません。
だから私たちは、補助金を使う案件だと先に教えていただくようお願いしています。「動画制作一式」の1行見積では差し戻されます。企画・撮影・編集・ナレーションの単位に分けて出します。
第20回の日程から、撮影日を逆算する
第20回公募の日程は次のとおりです。この制度は、地域の商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)がないと申請できません。その締切が申請締切より前にあります。
| 項目 | 日付 |
|---|---|
| 申請受付開始 | 2026年11月5日(木) |
| 事業支援計画書(様式4)発行の受付締切 | 2026年12月4日(金) |
| 申請受付締切 | 2026年12月15日(火)17:00 |
| 補助事業実施期間 | 交付決定日から2028年3月31日(金)まで |
| 補助事業実績報告書の提出期限 | 2028年4月10日(月) |
様式4は、受付締切以降はいかなる理由があっても発行できないと書かれています。やりとりには時間がかかるため、11月に入る前から動く前提で考えてください。窓口は日本商工会議所の検索サイトで調べられます。
交付決定までの時間も押さえてください。公募要領には、採択発表から交付決定までに概ね1〜2か月かかる場合があるとの記載があります。採択の連絡が来てすぐ撮影、とはなりません。実写の納期は私たちの目安で3〜4週間、撮影なしのアニメーションなら最短2週間です。この期間も足して逆算してください。
申請前に社内で確認しておくことを並べます。
- 常時使用する従業員の数が小規模事業者の基準に収まっているか(商業・サービス業は5人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他は20人以下)
- 動画で宣伝する商品・サービスが1つに決まっているか
- その動画をどこに載せるか(自社サイトなら③、それ以外なら②)
- 動画以外の経費を同じ申請に組み込めるか(②③は単独申請ができない)
- 交付決定までの数か月、制作を止めておける計画か
- 申請は電子申請システムのみで、郵送は受け付けられない
補助金ありきで、動画の計画を立てない
補助金は採択されないこともあり、制度は毎年変わります。だから私たちは、通らなくても回る計画を先に作るようおすすめしています。
私たちの実写動画は、スタータープランが50,000円(税別)です。簡易打ち合わせ、一人体制の撮影、編集、修正2回が含まれます。インタビューを加えるスタンダードプランが100,000円、複数人体制での撮影を行うプレミアムプランが250,000円です。
補助金を待たずに1本作り、効果を見てから次を制度に乗せる進め方もあります。株式会社カーネット様では、営業ツールとして活用する動画で年間100契約の獲得を後押ししました。シェアサロンCOCO様では、SNS運用と予約導線の設計まで含めて、施設の登録者数が400%増加しています。動画が効くかどうかは、補助金の有無とは別の話です。
自己負担が3分の1になっても、動画が使われなければ支出は残ります。目的を決める、効く構成を決める、そのうえで使える制度を調べる。この順番をおすすめしています。
相談する
「補助金を使って動画を作りたいが、対象になるか分からない」という段階でのご相談で構いません。動画の用途と載せる場所を教えていただければ、公募要領のどの区分に当たりそうかの整理から一緒にやります。
申請書の作成は商工会・商工会議所や専門家の領分です。私たちがお出しできるのは、内訳の分かる見積書と構成案、交付決定に合わせた制作スケジュールです。補助金ありの案と無しの案を並べることもできます。お見積もりは無料です。広島市内であれば訪問、それ以外の地域はオンラインで対応しています。
