動画の費用は「尺」ではなく「作業量」で決まる
動画制作の費用は、動画の長さでは決まりません。決まるのは、完成までに人が動いた量です。1分の動画が30万円になることもあります。3分の動画が5万円で収まることもあります。差を生むのは尺ではなく、企画の有無、撮影の日数、関わった人数です。
私たちは広島で動画制作会社を営んでいます。2022年の設立以来、累計300本以上を制作してきました。その中で、見積書を見た担当者から最も多く受ける質問が「この金額は、何の金額ですか」です。
この記事では、見積書の内訳と、金額が動く要因、予算から逆算する手順を書きます。相場の一覧表ではありません。自社の予算をいくらに設定するか、ご自身で判断できる状態になることを目指した内容です。
見積書に並ぶ5つの費目
制作会社によって書き方は違います。ただ、費目はおおむね5つに整理できます。
企画・構成費
動画の目的を整理し、構成案や絵コンテを作る作業の費用です。「何を、どの順番で、どう見せるか」を決める工程にあたります。ここを省けば安くなります。代わりに、発注側が構成を用意する必要が出てきます。
ディレクション費
打ち合わせ、スケジュール管理、撮影現場の指揮にかかる費用です。見積書の中で、最も理解されにくい項目だと感じています。実態は、制作全体が破綻しないように見張る人の人件費です。関係者が多い案件ほど、この工数は増えます。
撮影費
カメラマン、機材、移動にかかる費用です。人数と日数で変わります。1日で撮り切るか、2日に分けるかで、金額は大きく動きます。遠方の撮影では、交通費が別途かかります。
編集費
撮影した素材を切り、字幕・BGM・ナレーションを載せる作業です。カット数が多い動画や、数字や仕組みを図解する動画は、ここが厚くなります。アニメーション動画の場合、費用のほとんどがこの工程に集まります。
諸経費
素材の使用料、出演者の手配、スタジオの利用料などです。一つひとつの金額は小さく見えます。ただ、見落とすと後から効いてきます。特に音楽と写真の権利は、確認を怠ると差し替えが必要になります。
金額を動かす6つの要因
見積もりの金額は、次の6つで動きます。発注側が自分で調整できるものと、そうでないものを分けました。
| 要因 | 金額への影響 | 発注側で調整できるか |
|---|---|---|
| 撮影をするかどうか | 大きい | 調整できる |
| 撮影の日数と場所の数 | 大きい | 調整できる |
| 撮影の体制(1名か2名か) | 中くらい | 相談して決める |
| 企画・構成を誰が作るか | 中くらい | 調整できる |
| ナレーション・オリジナルデザイン | 中くらい | 調整できる |
| 修正の回数 | 小さいが見落としやすい | 調整できる |
このうち、効き目が一番大きいのは撮影の有無です。撮影をやめてアニメーションに切り替えるだけで、予算の前提が変わります。手元にチラシやパンフレット、ホームページのデザインデータがあるなら、撮影なしでも動画は作れます。西本屋様の即湯サービス紹介アニメーションは、イラストの原画をレイヤーに分け、水しぶきや湯気の動きを付けた15秒の動画です。撮影は一度もしていません。
次に効くのが、撮影場所の数です。「本社と工場の両方で撮りたい」という要望は、よくいただきます。移動と設営が増えるぶん、1日では収まらなくなります。優先度の高い場所を1つに絞るだけで、金額は目に見えて変わります。
修正回数は、金額表には出てきません。ただ、進行には確実に効いてきます。私たちの場合、修正は2回までが料金に含まれます。3回目以降は別途ご相談です。この線引きは、契約前に必ず確認してください。
予算を先に決めるときの手順
「相場が分からないので、予算が決められない」というご相談をよくいただきます。順番を逆にすると決めやすくなります。相場から予算を決めるのではなく、使い道から決めます。
- どこで使うかを決める(採用サイト・展示会・営業商談・Instagram など)
- 何本必要かを数える(1本で足りるか、媒体ごとに分けるか)
- 撮影が要るかを判断する(人の表情や現場を見せたいか、仕組みを図解したいか)
- 残った金額を企画とデザインに回す
この順で考えると、予算の根拠が社内で説明しやすくなります。「相場がこのくらいだから」という説明では、稟議は通りにくいものです。「採用サイトで1本、会社説明会で流用、撮影は本社1日」と書けば、金額の理由が言葉になります。
予算帯ごとに、実際にできること
私たちのプランを例に、予算帯ごとの中身を並べます。金額はすべて税別です。
| 予算 | 実写動画 | アニメーション動画 |
|---|---|---|
| 50,000円 | 簡易打ち合わせ、一人体制の撮影、編集、修正2回 | 簡易打ち合わせ、アニメーション編集、修正2回 |
| 100,000円 | 打ち合わせ、一人体制の撮影、インタビュー、簡易アニメーション、編集、修正2回 | — |
| 150,000円 | — | 打ち合わせ、絵コンテ提案、アニメーション編集、修正2回 |
| 250,000円 | 打ち合わせ、事前インタビュー、ロケハン、2名体制の撮影、編集、アニメーション、修正2回 | — |
| 300,000円 | — | 打ち合わせ、ラフコンテ提案、オリジナルデザイン作成、絵コンテ提案、アニメーション編集、ナレーション録り、修正2回 |
見ていただきたいのは、金額が上がるにつれて増えているのが「人の手数」だという点です。ロケハンが付く、撮影が2名体制になる、オリジナルデザインを起こす。増えているのは画質ではなく工程です。
予算が限られている場合、私たちは「やることを減らす」提案をします。品質を落とすのではありません。撮影場所を1つに絞る、尺を短くする、既存の素材を使う。この3つを組み合わせれば、スタータープランの枠に収まる設計にできます。
費用をかける価値があるかの判断
金額の話と同じくらい大切なのが、その動画が何を代わりにやってくれるか、という視点です。
株式会社カーネット様には、営業商談で使うサービス説明アニメーションを制作しました。複雑なシステムは、口頭や紙の資料では魅力が伝わりにくいという課題がありました。動画が「完璧なプレゼン」を代行する設計にしたところ、顧客の理解度がそろい、年間100件の契約獲得を側面から後押ししました。
シェアサロンCOCO様では、動画制作だけで終わらせず、SNSの運用と予約導線の構築までを一括で設計しました。結果として、施設の登録者数が400%増加しています。
どちらも、動画そのものではなく、動画が担う仕事に費用を払った例です。「何本作るか」より「何を代わりにやってもらうか」で考えると、金額の妥当性が判断しやすくなります。
見積もりで確認する7項目
見積書を受け取ったら、金額の前に次を確認してください。
- 撮影の日数と、撮影場所の数は何箇所か
- 撮影の体制は何名か
- 企画・構成はどちらが作るか
- 修正は何回まで含まれるか、3回目以降はどうなるか
- BGM・写真・フォントの使用料は含まれているか
- 交通費や出張費は含まれているか、別途か
- 納品形式と、二次利用(縦型への作り直しなど)の扱い
この7つが書かれていない見積書は、金額だけを見ても比較になりません。見積もり提出のあとで「やはりSNS用の縦型も欲しい」と要望が増える場面は、実際によくあります。最初の1枚で線引きを確認しておけば、その場で判断できます。
相談する
動画の費用は、何にどれだけ人手をかけるかで決まります。予算が決まっていない段階でも構いません。「採用に使いたい」「展示会で流したい」という一言からで大丈夫です。私たちが目的の整理からお手伝いし、構成案とお見積もりを無料でご提案します。広島市内であれば訪問、それ以外はオンラインで対応しています。
